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奥野 浩
KURRI-TR-294, p.77 - 81, 1987/00
この報告では複数ユニット体系に対する中性子の収支方程式から出発して、臨界安全管理に使用できる立体角の制限式を導いた。従来の立体角法で使用されていた制限曲線もこの制限式の特殊な場合として導かれることが明らかとなった。さらに、この中性子の収支方程式が、体系全体の実効増倍率を固有値とする固有値方程式として表されることから、この固有値方程式を数値的に解く計算コードMUTUALを作成した。この計算コードは従来の立体角法では取扱いが難しかった「影」の効果や反射体の効果が取扱えるようになっている。モンテカルロ法による中性子輸送計算コードKENO-?Vとの計算結果の比較では数%の範囲内でよく一致しており、計算時間はその千分の一以内で済むことも明らかとなった。また、従来の立体角法によりも経済的合理性の高い評価が与えられるようになった。
片倉 純一
KURRI-TR-294, p.25 - 32, 1987/00
核燃料の未臨界性を確保するには、質量や形状寸法等に制限を設けて、それらを制限値以下に管理する方法や計算により未臨界性を確認する方法があるが、この制限値を求めたり、未臨界性を確認する際、燃料領域は燃料の濃度が一定、あるいは、燃料棒の配列が一定間隔として扱われることが多い。しかしながら、核燃料再処理における抽出プロセスや燃料貯蔵容器などでは、一時的にせよ燃料領域に濃度分布が生じることがあり得る。このような濃度が分布のある燃料や、いわゆる非均質燃料であっても燃料棒の間隔に粗密のある体系を濃度が一定の体系や燃料棒間隔が一定の体系と区別して、前者を「不均一系」、後者を「均一系」という。
館盛 勝一; 三好 慶典
KURRI-TR-294, p.62 - 68, 1987/00
溶媒抽出法は、鉱石からのウラン回収に始まり、廃棄物からのプルトニウム回収迄、いわゆる核燃料サイクルの多くの局面に利用されている大変重要な化学処理法である。臨界安全性の観点からは、ウランが濃縮された後の転換工程、再処理工程、プルトニウム元素回収工程等における溶媒抽出工程が主な検討対象となる。これらの中で特に再処理工程は、1)ウラン、プルトニウム、FP等複雑な組成の物質を取扱い、高い収率と分類(除染)度が要求される高度技術より成立つ。2)処理容量増大(コスト軽減化)に伴い、工程内の放射能インベントリが大きい。といった特徴から重視されるのみならず、3)燃料サイクルにおける要としての位置付け(戦略)、更に4)我国では民間再処理工場の建設が目前に迫り、現在、その安全確保が厳重要架台となっている、等から、注目すべき工程であり、ここでも再処理抽出工程に焦点を当てながら話を進めたい。